2015.12/21.

緒方

今年もあと二週間足らずとなってしまいました。今年の冬の京都は例年より随分と穏やかで、晴れの日はコートもいらないくらい暖かです。

さて、毎年の年末一回だけの贅沢な食事、緒方さんの間人(たいざ)の蟹を食べに行きました。もちろん蟹だけじゃなく、いろんなものが出てくるのですが、今回はメインの蟹だけをたっぷりと紹介させていただきます。

まず、間人の蟹について。間人というのは、京都府の北部、丹後町にある、小さな魚港の名前です。間人漁港で水揚げされる松葉カニを『間人ガニ』と呼び、品質・味ともに最高級と言われています。水揚げ量が少ないため『幻のカニ』とも呼ばれています。というのも間人の蟹漁船はどれも小さな船ゆえに、漁場に出ても、その日のうちに港にもどらねばならないのです。漁場自体も港に比較的近いので、間人蟹は他のどこの港に上がる蟹よりも新鮮なのです。しかし、間人の蟹漁船はたった5隻しかないから、手に入れるのは至難の技なのだそうです。

緒方さんは、その間人蟹しか使いません。冬場はすぐに海が荒れて、間人の漁船は漁にでることができなくなりますが、その時には緒方さんとて蟹が手に入らなくなります。ですから、いくら緒方さんで蟹が食べたくて、大変な思いをして予約をいれても、その時に海が荒れていれば蟹を食べることは全くできないのです。実際先週は全く蟹は出さなかったそうです。

先日は幸運にもたっぷりいただくことができました。

まずは雌の蟹。こちらではコッペと呼ばれています。

最初に出てきました。日本の晴海商会がバカラに発注した金彩蓋つきの器にはいっています。小さな猪口に入っているのはいわゆる外子と呼ばれる、雌の蟹がだいている卵です。

蓋を開けると、ちいさなこっぺの足を丁寧にほぐしたみと内子(蟹の卵巣)と蟹味噌が和えてあります。なんとも濃厚な味わい。幸せなスタートです。ただ、コッペは12月末をもって禁漁となるため、これが味わえるのは、今月までということになります。

その後、お造りなど何品かあるのですが、今回はメインの蟹の紹介をさせていただきます。

間人蟹がどんどん解体されていきます。

頭も外されて、解体終了。4人で2杯の蟹。ひとり、半杯を食べられます。

そして、新鮮な蟹の醍醐味はやはり焼き蟹です。緒方さんが七輪で少しづつ炙っていかれます。

まずは爪と関節から。

香ばしい香りがたまりません。確かに関節は身もほぐしにくく、ちょっと食べるもの大変なのですが、一番動くところでもあり、かなりの美味です。炙った香ばしさも相まって、思わず笑みがこぼれます。

そして脚!!ちゃんと縦に割って出されるのですが、食べ方にはコツがあります。添えられたお箸を細い方から太い方に向けて下におろすと、身が写真のように、ハラリと殻から外れます。あくまでも、細い方を上にして、太い方に向けてお箸をおろすのです。これ鉄則です。なんとも言えない甘い身が口の中に広がります。

因みに、蟹用のお皿は、明代の7寸皿です。なんと、400年以上前のものです。なんと贅沢なんでしょう。

最後には甲羅になみなみと入れられた、蟹味噌のスープ。

この中にも、身がいっぱい入っています。甲羅も七輪で焼かれて、熱々で出されます。

蟹味噌の濃厚な味、そして立ち上る磯の香り。至極の味わいです。こんな贅沢をしてもいいのだろうかと感じるひとときでした。

この後もお料理はつづきますが、今回のブログは蟹の幸せな時間に集中させていただきました。

緒方さん、予約するのすごく大変なのですが、是非一度蟹の季節にいってみてください。幸せになれること保証します。             ts

 

 

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