ルネ・ラリック特別展速報2 by ts
今日は、ちょっとアカデミックな物を紹介します。
ラリックは1910年頃に、宝飾作家からガラス工芸作家に転身していきます。まず、一番最初にラリックの関わりのあったのが、フランソワ コティー氏。コティーの香水店は、ラリックの宝飾店があった、同じヴァンドーム広場にありました。20世紀はじめに人工香料のアルデヒドが発明されると、いままでは特権階級の人達しか購入できなかった高級品の香水が比較的安価に製造できるようになってきます。以前は香水をつけること自体がひとつのステータースだったのですが、量産できる香水にどのような付加価値を付けて販売すればいいのかと考えたコティー氏はルネ・ラリックに協力を求めます。もともと、宝飾作家だったラリックはコティーの為に金属製の商標ラベルを制作しました。
そこで、この木製ボックスをごらんください。
蓋を開けます。
さらに前の板を倒します。
実はこれは、コティ社のための香水テスターの箱なんです。恐らく携帯用のものだったのではないでしょうか?正確な制作年代は不明ですが、恐らく1908年ぐらいの物だと言われています。奥の真ん中にある金属製のつまみを引き上げて、手前のつまみで底板を引き出すと瓶の口を固定してある金属のロックが外れます。
これがロック掛かった状態。
これが外された状態
この箱の裏蓋にラリックのデザインの金属ラベルが取り付けてあります.
三人の裸婦がパフュームバーナーのようなものを持っていて、それから出る煙がLE PARFUMS DE COTYという文字に変わっていきます。なんとも、アールヌーヴォ的なデザインですよね。
ちゃんとサインも右下にあります。R.LALIQUEの小さな手彫り文字が見えますか?
小さなサンプル瓶の中で、アンバーアンティークのラベルがついたものを見つけました。
この紙ラベルもラリックのデザインによるもののようですが、アンバーアンティークの為にラリックは香水瓶も1910年に制作しています。ガラス作家としても初期のもので、ローマ風の衣装をまとった女性が4人描かれています。この小さな瓶と並べて写真を撮りました。
テスターの瓶には当時の香水がまだ少し残っています。まだ香りも残っています。当時の香りを忍んでみるのも面白いですよ。 ts