2013.7/8.

リスボン旅行紀3 (グルベンキアン美術館3)

さて、いよいよ最後の部屋のラリックコレクションのご紹介です。グルベンキアン氏はルネ・ラリックとはかなり親しい友人で、金銭的な部分でも随分助けられたようです。ラリックは当時ヨーロッパ各地で開催された国際博覧会に宝飾品やガラス工芸作品を出展しましたが、そういった発表作品をグルベンキアン氏はすすんで買い取っていきました。それ故、大型の蝋型成型の作品や宝飾品の主立った作品はバラバラにならずにまとまって、この美術館の蔵品となったのです。

ラリックの作品が並ぶ展示室に入る前の小さな部屋にこの作品がひとつだけ展示されています。

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ラリックがまだ宝飾作家だった20世紀に製作されたものです。 ラリックが一番最初に建てたパリにある自宅にこの作品が展示されている写真があるので、おそらく、グルベンキアン氏が買い取ったのでしょう。直径が60cm程ある大きな銀製テーブルオーナメントです。中心には沸き上る泉の上に乗った裸婦、脇には4人の水の精が、魚を抱えて水に浮かんでいるようです。そして、魚の口からは水が流れ出ています。その水はガラスで作られています。

ガラスで制作された水の部分の拡大写真です。

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恐らく、この部分は蝋型成型方法で制作されたのではないでしょうか。宝飾作家の時代にもこのようにガラスを部分的に使用したものが見受けられます。まるで、この先にガラス工芸作家としの未来を暗示するかのようです。

そして、いよいよラリックの展示室に入ります。結構たくさんの人が入っていました。

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まずは、蝋型成型方法で制作された、花瓶が並びます。以前に国立新美術館で行われた時に出品されたものも展示されていました。

大型の作品のクローズアップ写真です。

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ディテールの美しさに思わずため息が出ます。

 

真ん中に展示してあるすごく小さな花瓶に目が釘付けになりました。ちょっとグロテスクに誇張されたトカゲの連続模様がすごく面白いです。可愛くも感じてしまいました。

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この作品のクローズアップも是非!!

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すばらしいでしょ。

蝋型成型の花瓶のケースの左右にもガラス工芸作家になる前に制作された作品でガラスを部分的に使用した作品等が展示されています。下の写真は左側の作品ケースです。

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これは右側のケース。象牙を使った彫像なども見えます。

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その中には蝋型成型の人物像もありました。

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白濁したガラスの色のせいかまるで、磁器の作品のようにも見えます。グリンのパチネ彩色がディテールを際立たせています。

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パンフルートを吹く少年の象。これもガラスというより、彫刻作品のようです。

 

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この聖杯も銀で作った枠の中にクリアガラスを吹き込んだものです。大きく飛び出した人物の部分はもちろん蝋型成型でつくられたものです。

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この蛇の銀のポットも凄い迫力でした。数匹の絡まる蛇でポットの枠を銀で作って、そこに茶色のガラスを吹き込んでいます。アールヌーヴォ色の強い1900年頃の作品です。

 

全部紹介してたら長大なブログになってしまうので、凄く印象に残った物だけをご紹介させていただきました。次回は同じ部屋にある、宝飾作品についてです。  ts

 

 

 

 

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